sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「どうして、偽装結婚のこと……両親に正直に話したんですか。あのまま私の元彼のフリをしてくれれば司さんが悪く思われたりしなかったのに…!」
社員の皆さんを欺いたように、そうすればよかった。
なのに、どうして……?
「……お前の家族に、嘘を吐くのは違うと思った。あのまま嘘を吐いたとしてもお前は後ろめたくて苦しくなるだけだろう。それなら、正直に話したほうが賢明だと、俺なりに考えた。」
それは、私の気持ちをことを考えてのこと…?
「それに、前の男のフリをするなど俺のプライドが許さん。」
なんて、彼は腕を組んで私を見つめる。
理由はどうあれ、私が家族に嘘を吐かせないようにしてくれたってことだよね。
「ありがとう……ごさいました。」
思わず溢れた言葉に、一ノ瀬司は何一つ表情を変えない。
「お前は俺のように嘘を吐くな必要はない。大切な相手に嘘は吐くな。俺もお前の家族には嘘は吐かん。必ず約束は守る。」
彼は真摯な瞳で私を見つめ、
「もちろん、お前にも。」
低く、心地いい声が私を包んだ。