sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「そう言えば、お前のお母さんが寝床を用意してくれたそうだ。こんな部屋では寝れんからな。実家だからと言って前みたいによだれ垂らして寝るなよ。」
よ、よだれ!?
まさか、鍵で部屋に入って来た時?
「あ、の…同じ部屋で寝る…とかじゃないですよね…」
お母さんのことだ、もし普通に付き合ってると紹介していたら隣に布団を並べそう。
でも、契約している間柄だと知っている。
同じ部屋、なんてことないよね?
「何だ、同じ部屋がいいのか。」
なんて、一ノ瀬司は私がいるベッドに近づいてくる。
「い、いや、そうじゃなくて……!むしろその逆って言うか…その」
慌てる私なんてお構いなしに、ベッドに上がる一ノ瀬司。
ギシッとスプリングの音を立て、顔を近づけてくる。
な、なんなの!?
まさか……き、キ…キス…!?
思わずギュッと目を閉じると、顔が近づく気配がした。
「色気のないスウェットなんぞ着ている女、この俺がどうこうするとでも思うか。」
耳元に熱い吐息がかかる。
驚いて目を見開くと、一ノ瀬司は私の頬をつねった。
「髪をきちんと乾かせ。阿保め風邪引くぞ。」
彼はそう言い残し、部屋を出て行った。