sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「間抜けな顔で眠っていたな。キスでもしたら起きると思ったが……」
「へぇ!?な、し、したんですか!?」
思わず、ご飯を喉に詰まらせそうになる。
「何をそんなに驚く。するわけないだろ。馬鹿馬鹿しい。」
び、ビックリした……
どうも、キスという言葉に敏感になってしまっている自分がいた。
でも、寝顔はバッチリ見られてたんだ。
一応、女なんですけど、私。
恥ずかしくて顔を見れず、私はそれから黙ったままご飯を食べ終えた。
明日はさすがに仕事だろうし、早めに帰ったほうが良いよね。
帰りの運転だってあるし……
私は一方的に帰るとお母さんに告げ、身支度をした。
「またいらっしゃいね。いつでも待ってるわ。」
お母さんは玄関先まで見送ってくれる。
お父さん、やっぱり早々出かけたのかな…
そんな風に思っていると、お母さんが私の名前を呼ぶ。
「梢。何も出来ない、不甲斐ないお母さんでごめんね。お父さんもお母さんも…貴方なりに家族のこと考えてくれたっての分かってるわ。でも、無理だけはしないでちょうだいね。」
お母さんはそう、私の手をギュッと握る。
「司さん、不束な娘ですがよろしくお願いします。」
頭を下げるお母さんに一ノ瀬司もそっと頭を下げた。
「こちらこそ、大事なお嬢さんをお預かりします。」
「お母さん、また帰ってくるね。」
手を振るお母さんに見送られ、私たちは車に乗り込み出発したのだった。