sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
数十分後、車はパーキングエリアで止まる。
助手席を降りると、江ノ島という文字が目に入る。
うそ……ここ江ノ島の駐車場?
よりによって、何で江ノ島……
「何だ、そんなに驚くことか。」
「い、いや〜ちょっと……思い出すって言うか……」
何で今なんだろ。
陽介とこの江ノ島に来たことを思い出してしまった。
もう、2、3年前の話なのに……こんなに簡単に思い出すだなんて。
「前の男と来たことを今更のように思い出しているのか。フンッ、随分と引きずっているようだな。」
「べ、別に引きずってなんかいません!!ただ……まだ過去にするのは難しくて……」
別れを告げられ一ヶ月経ったけど、やっぱりどこかで陽介のこと……
でも、私……今の今まで陽介のこと考えてた?
俯いていると、強引な手に顎を掴まれ上を向かされる。
「今、お前の目の前にいるのは誰だ。」
真摯な瞳で見つめられ、逸らすに逸らせない。
「余計なことは考えるなとは言えない。でも、時間は嫌でも流れる。しっかり前を見ろ。」
時間は嫌でも流れる。
そうだよ……しっかり前を見なきゃ。
「あの、行きたい所があるんですけど一緒に付いてきてくれませんか……?」
過去にするのは今はまだ難しくても
前を見る努力を少しずつ。