sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜





数十分後、車はパーキングエリアで止まる。



助手席を降りると、江ノ島という文字が目に入る。

うそ……ここ江ノ島の駐車場?


よりによって、何で江ノ島……



「何だ、そんなに驚くことか。」



「い、いや〜ちょっと……思い出すって言うか……」



何で今なんだろ。

陽介とこの江ノ島に来たことを思い出してしまった。

もう、2、3年前の話なのに……こんなに簡単に思い出すだなんて。



「前の男と来たことを今更のように思い出しているのか。フンッ、随分と引きずっているようだな。」



「べ、別に引きずってなんかいません!!ただ……まだ過去にするのは難しくて……」



別れを告げられ一ヶ月経ったけど、やっぱりどこかで陽介のこと……


でも、私……今の今まで陽介のこと考えてた?



俯いていると、強引な手に顎を掴まれ上を向かされる。



「今、お前の目の前にいるのは誰だ。」



真摯な瞳で見つめられ、逸らすに逸らせない。



「余計なことは考えるなとは言えない。でも、時間は嫌でも流れる。しっかり前を見ろ。」



時間は嫌でも流れる。

そうだよ……しっかり前を見なきゃ。




「あの、行きたい所があるんですけど一緒に付いてきてくれませんか……?」



過去にするのは今はまだ難しくても
前を見る努力を少しずつ。






< 139 / 251 >

この作品をシェア

pagetop