sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
大きな鳥居の前までやってくると思わず立ち止まる。
「あ、あのっ、ここは江島神社で、江ノ島きってのパワースポットと言われてまして、縁結びなんかも……」
「………」
一ノ瀬司は私の話なんて御構い無しに神社の中へと進む。
私のガイドはいらないってか…
一ノ瀬司を連れてやってきたのは江ノ島随一のパワースポットとして有名な江島神社。
お昼過ぎだけど思ったより人はいないみたい。
拝殿の前に二人並んで立つ。
この前まで私の隣には陽介がいたのに。
今は最近知り合った偽装結婚の相手が隣に。
でも、彼が隣にいることはそんなに嫌じゃない。
寧ろ……一ノ瀬司がいるから余計なこと考えなくて済む。
これも利用してるってこと……だよね。
彼の存在に助けられてるんだと、今更ながら重々と思い知らされた。
一ノ瀬司は当たり前のように二礼二拍一礼をする。
さ、さすが御曹司。
見様見真似で彼に合わせ
柏手の後、私は心の中で願いを念じる。
そっと目を開いたときには隣に一ノ瀬司の姿がなかった。
……あれ?