sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
………へ?
あっという間の出来事。
視線にはスーツ姿の広くて大きな背中。
わ、私、担がれてる!?
横断歩道を無事渡りきると、スーツ姿の男性は私をゆっくり降ろした。
そして、お爺さんを近くのベンチに座らせる。
「……ったく、病院が嫌で逃げ出すからこうなるんです」
男性はお爺さんの脈をはかると胸ポケットからスマホを取り出し電話をかける。
お、お医者さん……なのかな?
私の視線に気づいた男性はチラッと私を一瞥する。
「……ああ、すみません。危ないところを助けていただいて」
しゃがんでいた男性は立ち上がると深くお礼をした。
その男性は長身でスラッとした体型。
黒髪で眼鏡がよく似合う端正な顔立ちだった。
これを世に、イケメンと呼ぶのだろう。
眼鏡越しでもその綺麗な瞳に私は心を奪われたように思わず男性に見惚れてしまった。