sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
全くもって面倒だ。
そのうち暴れ出すんじゃねぇだろうな。
三角帽子を振り回し飛ばした挙句、懲りずにまたワイングラスに手を伸ばそうとする。
「お前っ、いい加減にしろ。」
グラスを取り上げると、真っ赤な顔で俺を睨みつける。
「ケチ!一ノ瀬司のケチ〜〜冷酷御曹司のケチ〜〜」
何が冷酷御曹司だ。
酔い覚ましに頬でもつねってやろうと伸ばした手をギュッと握る目の前の酔っ払い女。
「ケチ……だけど、……、しゃしてる……」
「………は?呂律回らなくなったか酔っ払い……」
何を言おうとしたのか気になって少し耳を傾けると火照った顔、潤んだ瞳がゆっくりと近づいてきて………
静かに唇が重なった。
一瞬、何が起こっているのか理解不能で。
そっと唇を離した目の前の酔っ払い女はふにゃっと笑みを浮かべ……
「けーき、もう食べられない、よぉ…」
なんて、呟き、そのまま俺の膝の上で目を瞑った。