sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
都内では白石総合病院が一番大きい。
鞄を抱え病院に向かうとロビーのソファーで待機しているさっきの男性を見つけた。
「あ、あのっ、」
名前がわからないのでとりあえず後ろから声をかける。
私の声に振り返った男性は、ああ、とソファーから腰を上げた。
「君はさっきの……」
眼鏡の奥の澄んだ瞳が私を捉える。
何故か男性を見るたび胸がドキドキする。
「あ、あのっ、鞄…忘れてたみたいなので…」
慌てて鞄を差し出すと男性は申し訳なさそうに微笑んだ。
「すみません、何度も。君にはどうやら縁があるみたいだ」
俯いて微笑む男性に鼓動がどんどんと早くなっていく。
な、何これ……
不意の笑顔に胸が高鳴る。
「…お、お爺さんは大丈夫でしたか…?」
ドキドキしていることを悟られないよう、私は平常心を保つ。