sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「そちらの方、もしかして……」
なんて、森下くんに寄りかかる私を見て麗香さんはニヤリと微笑む。
「ち、違います!ちょっと色々あって…」
森下くんから慌てて離れ、恐る恐る司の様子を伺うも、どうってことなさそうでいつものように冷ややかな視線を私に送った。
私の声に、何かあったのかと前を歩いていた夏美たちが戻ってくる。
「どうしたの?……って、もしかして一ノ瀬司さん!?梢知り合いなの?」
「本当だ!2年前にマネジメントセミナーの特別ゲストで来てくれた一ノ瀬さんじゃん!」
戻ってきた夏美、亜衣子が司を見て驚いた声を上げる。
2年前のマネジメントセミナー?
何だか聞いたことのある名前だな……
「そういえば梢セミナー寝てたよね。」
隣で紗栄子が苦笑いで言う。
そうだ、確か寝不足で完全に寝てたような……
全然覚えてない。
「一ノ瀬さんって梢と知り合いなんですか?」
夏美の質問に冷や汗が流れる。
まさか、婚約者です、とか言わないよね……
そう不安に思っていると意外にも柔な声が聞こえてきた。
「いえ、以前一度祖父を助けていただいただけで。単なる顔見知りです。」
司は外用の笑顔で答えると、失礼しますと言って麗香さんを連れ私達とは反対方向に歩いて行ってしまった。
「何だ、梢と何か関係あるんだったら面白かったのに〜〜。でもかっこいいもんね〜そりゃ彼女いるよね。」
そうだよね。
彼女いない方がおかしいよね。