sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
何だろ私。
司に少し他人の振りされたこと、寂しく思ってる。
麗香さんと寄り添って歩く後ろ姿が頭から離れない。
「………安藤さん?どうした?」
胸が苦しい。
苦しいけど、今すぐ会いに行きたい。
「ごめん、森下くん、みんな。私帰るね…っ!」
驚くみんなの声を後に、私は司が歩いて行った方向に走り出した。
人混みの中走って本当、何してるんだろ私。
少し行ったところでタクシーを見送る彼の姿があった。
丁度振り返った彼と視線が交わると、私の走ってきた姿を見て呆れたように笑った。
「前髪、ボサボサだぞ。」
「れ、麗香、さんは?」
息を整えていると、そっと伸びてきた手が私の髪を優しく直した。
「ああ、今タクシー乗せたところだ。今日は車は置いてきたからな。」
相変わらず、さり気なく髪を直すことなんて簡単にやってのけちゃうんだから。