sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「もう一度、俺と……一から始めてくれませんか。今度は絶対離したりしない。」
回された腕に私はそっと手をのせた。
「………ごめん、私ね────」
ゆっくり腕を離し、振り返ると陽介は切なげに笑った。
「やっぱり好きな人、いるんだな。」
「………え?」
「だってほら、あんな大量に食材買ってさ。梢って楽しいこととか考えたらいっぱい買う癖あるもんな。」
陽介はテーブルに置いたスーパーの袋を指して微笑む。
あんなに沢山買ったつもりなかったのにな……
「そうやって料理を作ってあげる人、もういるんだろ?」
「作ってあげる人って……別にそんなんじゃ…」
だってあの人は……
「いつの間にか好きになってる。さっき自分で言ってたろ。」
いつの間にか、自分の意思とは関係なく…
「本当は認めたくないだけで気づいてるんだろ?その気持ち、ちゃんと大切にしろよ。」
最後には昔みたいに陽介は笑った。