sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「ったく……何してんだお前は。もしかしてさっき隠れて酒でも飲んだか?」
至近距離で端正な顔が迫り、少しだけお風呂上がりのシャンプーの匂いが鼻をかすめた。
それだけでもっと頭がクラクラして、心臓が暴れ出す。
「の、飲んでないよ……ちょっとのぼせただけで……」
「のぼせた?ちょっと顔向けてみろ。」
そっと頬に手を当てた司は私の頬を包むようにする。
「どうだ、冷たくて気持ち良いだろ。」
私は両頬に手を当てられたまま、何も言えず見つめ返すことしか出来なかった。
「フッ、やっぱり間抜け面だな。」
「なっ!やっぱりって何よっ!」
私ばっかりが意識してる。
やっぱり私は司にとって妹以下の口を貪る犬としか思われてないんだよね。
「髪濡れたままにするなって言っただろ。そのうち風邪引くぞ。」
「阿保は風邪引かないからいいですぅー」
ベーっと舌を見せて笑うとどこからか持ってきたドライヤーの風を顔面にかけられる。
「ちょっ!?」
「馬鹿は風邪を引かないが阿保は阿保だから風邪を引くんだ。黙って座ってろ。」
なんて、意味のわからないことを言って私の髪を丁寧に乾かしていく。