sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
長い指先が私の髪を梳いていく。
司の動作一つで私がどれだけドキドキしてるかなんて少しも知らないんだろうな。
温風と心地良い風の音にそっと目を閉じた。
好きだって言えたらどれだけ楽なんだろう。
もうこのままいっそ全部この気持ちが伝われば良いのに。
私が好きだって言ったら、貴方はどんな反応しますか?
「お前、どこか行きたいところあるか?」
急にドライヤーの風が止まり静けさが戻る。
行きたいところって……さっき古賀さんが言ってた、最後ぐらいどこか連れて行ってあげなよってやつ?
本当にこれで最後なんだ。
でも、案外その方がいいのかもしれない。
気持ちに気づいた今、この契約が長引けば長引くほど辛くなる。
「それってどこでもいいの?」
「ああ。就職先が決まったお祝いだ。」
「じゃあ……────」
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