sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「………それで理不尽に思ったお前は相園モータースに契約解除された安藤鉄工所の娘を助けた。借金を肩代わりする代わりに婚約者の振りまでさせて。フンッ馬鹿馬鹿しい。それが今じゃ一緒になりたいと思っている?経営破綻状態の鉄工所の娘と結婚したところでうちになんのメリットがあるって言うんだ!」
バンッとデスクに手を叩きつける社長。
メリット?
そんなもんねぇよ。
でも……
「私はもう、彼女以外考えられません。」
「……お前は一ノ瀬がどうなってもいいと思っているのか?」
ああ、どうでもいい。
なんて、簡単に切り離せたらどれだけ楽なんだろう。
「じゃあ、社長の言うメリットが一ノ瀬にあればいいんですね。」
「………何を……相園モータースに契約解除された今安藤鉄工所の生きる道はない。」
「そんなこと、まだわからない。使えないから契約解除にするんじゃない。可能な限り社長や相園モータースと違って私は諦めません。」
失礼します、と頭を下げた時
社長はフッと笑った。
「お前は昔から母親似だったな……勿体無いからまだ使えるって……口癖だったな……」
………何だ今更のように。
「あの彼女、司から身を引く代わりに司と仲よくしてほしいって……言ってきたんだ。」
今度こそ部屋を出ようとしたとき、思わずドアノブに置いた手が止まる。