sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「本当にそれだけ?お母さんはそれだけの関係には思えなかったけど。」
「俺も。本当は裏で付き合ってるんだと思ってた。」
な、なんですか……口々に……
「もう、終わったの!!もうその話はしないで!」
随分、筑前煮の作り方だって上手くなったのに。
食べてくれる人がいなきゃ意味ないよ。
私はコートだけを羽織って寒い外に飛び出した。
行く当てもないけど、何だか今は帰りたくもない。
とぼとぼ歩いてたら駅について、気づいたら江ノ島までの切符を買っていた。
「ううっ、寒っ」
お昼過ぎに出て着いた頃にはもう日が落ちそうなぐらいだった。
冬はお昼が短いんだったな……
手袋もマフラーも忘れちゃったよ。
コートに包まりながら歩き続けると、いつかの神社の前までやって来た。
たくさんの絵馬の前で思わず立ち止まる。
ここで小さい子が書いた絵馬を一緒に見たんだっけ。
懐かしいな〜なんて、思い出すのは司のことばかり。
絵馬を見つめながら思いにふけっていると、隣からカップルの声が聞こえてくる。
「なあ、クリスマスどんなもん欲しい?」
「えっと〜〜新しく出たネックレスが欲しいな!」
ネックレスか……
私はアクセサリーより……
大好きな食べ物より……
「好き、って言葉が欲しかったな…」