sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
もう、それも叶わないけど。
「どうせだったらちゃんと顔見てさよならすればよかったな……」
もう、会うこともないだろうけど。
絵馬をじっと見つめていると、私の前に影が落ちた。
「あ、もう退きますんで……」
そっと、振り返るとそこには……
「この絵馬、そこに掛けてもらえますか?」
黒のコートを着た司がいた。
約1ヶ月振りだ。
「ひ、久しぶり……」
「………何が久しぶり、だ?お前勝手に家出やがって…」
「そ、それはね、やっぱり実家の鉄工所で婿養子とるのが一番いいんだって今更気付いて……」
久しぶりに会えたのに、何言ってるんだろ私。
「お前、俺のことが好きだったんじゃないのか。」
何でそんなの聞くの?
そんなの……
「そんなの、好きに決まってるでしょ!」
好きだよ。
大好きだよ……。
「じゃあ、なぜ勝手に部屋を出て行く。」
「それは……司のためを思って……それに、司は私のことが好きじゃない」
思わずそう言うと、司は溜息をついた。
「なぜそう言い切れる?」