sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
あれよあれよで大学卒業。
紗栄子たちと海外に卒業旅行に行ったりと、それなりに充実していたんだけど……
「もう来週から4月だよ?一ノ瀬さんから何も連絡ないの?」
来週からは社会人だし今のうちに遊んでおこう、なんてまだまだ学生のノリで私は紗栄子と岩盤浴に来ていた。
「全くの音沙汰なし。………私のこと忘れてるのかな…」
好きだ、とは言われたけど
今後のことは何も。
私は勝手に晴れて本当の婚約者に!なんて思っていたけど、向こうはそんなことこれっぽっちも思ってないのかも。
「まぁ、元気出しなさいよ!一ノ瀬さんは梢の為に色々頑張ってくれたんでしょう?大好きな人のこと、ちゃんと信じないと!」
そう、だよね。
あの人がマメに連絡くれるなんて想像つかないし。
今は、信じて彼の帰りを待とう。
*
「ユキちゃんただいま〜」
なんて、ドアを開ける。
何かと私のことを敵対視していたペルシャ猫のユキちゃんだったけど、司がニューヨークに旅立ってからは2人の時間が増えてだんだんと心を開いてくれるようになったのだ。
今日はユキちゃんの好きなお魚だよ〜、玄関の靴を直そうとしたとき、黒の革靴が目に入った。
────これって……!
急いでスリッパに履き替えリビングのドアを開けると……
会いたくて、会いたくてたまらなかった
愛しい人がいた。