sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜





お父さん……っ!?




「頼む、待ってくれっ、御宅との契約が無くなればうちの鉄工所は……」



悲願するように言うお父さんの姿。


誰かに頭をさげる姿、ましてや土下座だなんて一度たりとも見たことはなかったのに。


いいや、私は知らなかっただけ。

きっといつもお父さんは私の知らないところで……



「安藤さん顔を上げてください。こちらとしても、もう打つ手がないのです。残念ですが、今回は諦めてください。」



スーツの男性は冷酷にもそう言うとお父さんを一瞥して鉄工所を後にした。



地面に手を付いたまま、俯くお父さん。



もしかして今の……契約していた上の会社から契約破談にされたんじゃ……


こんな田舎町の鉄工所、上の取引会社から切り離されたとなれば経営破綻になってしまう。



お父さんっ、と声を掛けようとした時だった。


柄の悪い男二人組が歩いて来て……

私はとっさに家の庭に身を隠した。



「あんど〜さーん。お金の用意出来ましたかぁ〜?」



明らかヤクザみたいな風貌の二人組は鉄工所の扉をこじ開けようとする。



お、お金の用意って……何それ。





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