sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
嫌な心臓の音がする。
お金ってまさか……借金?
う、ウソ…でしょ…
「そんな急に言われても無理に決まってるでしょう!近所迷惑になる、帰れっ!」
怒鳴り散らすようなお父さんの声。
嫌な汗が流れる。
「あっれ〜、従業員はどうしたんですか〜?あ、もしかしてみんな逃げちゃいました〜?それとも、お盆だから休みとか?ハッ、休んでる暇あるんですか〜…あ"ぁ?」
ガシャン───と機材を投げ倒す音がする。
まって……どういうこと、何なの……
手が震えて、頭が真っ白になる。
「さっさと払ってもらわないと困るんですよねぇ〜?もういっそ自己破綻したらどうです?こんなちっぽけな鉄工所、守る意味、ありますか?」
窓が壊れる音、鉄工所内が壊されていく音。
初めて目の当たりにする恐怖に私は怖くて何もできない。
「貴様らに何が分かる!?ここは代々続く鉄工所なんだっ!俺のせいで壊してたまるかっ」
バンっ────という鈍い音がする。
お、お父さん…!?
「フッ、オッさんオレらとやろーつうの?面白いねぇ〜」
ケラケラと不気味な笑い声。
何も出来ず庭の片隅でジッとしていると、家からお母さんが駆け出してきた。