sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「もう、やめて下さいっ!お金は出来る限り早く用意しますから……今日のところはお帰りくださいっ!」
お母さんの悲痛な叫び声。
お父さんも、お母さんも……どうして私に黙ってたの……?
「そう言われましてもねぇ〜こっちも仕事なんで。そう簡単に帰れないわけですわ。わかります?」
何なの、何で……
どうして……
言ってくれなかったんじゃない。
言えなかったんだ。
『こんな工場継いでここで暮らしていくつもりなんてないから!』
私があんな風に家を飛び出したから……っ
私のバカ────っ!
拳を握りしめ、私は立ち上がった。
バンっと音を立てて開けた扉にお父さんお母さんを始め、柄の悪い男二人組も振り返る。
「良い加減にしてくださいっ!これ以上、大声で暴れるのなら警察に通報しますよ!!」
怖いとか、思ってる暇はなかった。
「こ、梢…っ!?どうしてここに……」
私の登場にお母さんは驚いたように目を見開く。
お父さんも、動揺を隠せないように見えた。