sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「じゃ、行こっか、嬢ちゃん?」
顔を寄せる一人の男。
肩に回った腕はゴツく逃れられない。
気持ち悪い……
嫌だ、イヤっ、離してっ────!
そう、ギュッと目を瞑った瞬間
「人の敷地内で、乱暴すんのやめてもらえます?」
グイッと腰を引き寄せられ、男から遠ざけられる。
私を背に庇うようにして仁王立ちする大きな背中。
王子様………いや、違う。
………誰?
「おうおう、翔太ちゃんじゃないかよ。両親助けにわざわざバイトからすっ飛んできたのかな?」
………しょう、た?
「うっせぇ、黙れ。こんな取り立て違法だ。通報されたくなきゃとっとと失せろ」
男二人は「次来る時まで金を用意しろ」と言い残し鉄工所から出て行った。
ガクッとその場に座り込む私。
「ウソ……本当に翔太?」
大きな背中に呟くと、彼は振り返った。
「なーに驚いてんの?弟の顔も忘れたか、バーカ」
そう言って笑う彼を私はよく知っている。
お姉ちゃん〜!なんてよく私の後について回る可愛い弟が頭を過ぎった。