sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
■捨て猫な女
【司side】
"あの日"俺は不覚にも度肝を抜かれた。
この俺に向かって何の躊躇いもなく堂々と意見する女は初めてで新鮮だった。
骨のある、なかなか面白い奴。
直感的にそう感じていた。
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「以上が、一ノ瀬グループ60周年を記念するNY初、ホテルICHINOSEの新たな考案です。」
何百人もの収容人数が入る広い会議室はプロジェクターのみが光り薄暗い。
俺は手元の資料とスライドを交互に見つめ、重要な部分のみ丸をつける。
「以前、企画していたブライダルの件はどうなった。」
「はい。順調に進んでおります。以前は場所を確保出来なかったのですが交渉を積み重ね、チャペルもホテルのすぐ側に隣接が可能になりました。」
「現在NYにいる坂本と連絡を取れ。必要な場合は向こうに行って構わん。」
眼鏡を外し、資料を片付けると一斉に動き出す社員たち。
どうやら、俺が眼鏡を外すと会議はお開きだと悟っているらしい。