sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
会議室を出て、エレベーターを待っていると
後ろからお気楽な声が掛かる。
「司ちゃーん。何だか今日は不機嫌そーだねぇ?さっき森尾くんビビってたよ〜」
その声にやれやれ振り返ると、茶髪で短髪の男が俺を見つめヘラッと笑う。
「……いい加減、その呼び方止めろ。鬱陶しい。」
何が司ちゃん、だ。
気色悪いにも程がある。
俺の顔を見てヘラヘラ笑うこの男は
古賀 郁実(コガイクミ)29歳。
俺より二つ年上なこの男は
仕事上により昔からの世話係的存在。
持ち前の愛嬌と人相の良さで支持を得て、古賀は会長に気に入られた。
そのうち俺の面倒を見るようにと言われ、昔から一番傍にいた存在だった。
「やっぱり、機嫌悪いんじゃん?まあ、ツンツンしてる司も可愛いよ。」
ジロッと睨みつけると古賀はフッと笑みを零す。
「機嫌の悪い理由は…オンナ?さては、ニセ婚約者に選んだ女の子に……フられた?」
何もかも見透かすような瞳にジッと見つめられ、溜息をつく。