sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
うっ……
未だにこの近い距離慣れないな……
斎藤さんは四十代の商社マン。
元々このお店の常連客で、私の初出勤の日たまたま目に付いたらしくそれからずっと私を指名してくれている。
「ハナちゃんこの前と髪型変えたね〜上に上げてるほうが可愛いよ」
そう、斎藤さんは私のうなじをスッとなぞるように撫でる。
「ハナちゃん肌、白いよね。食べちゃいたいぐらい」
斎藤さんは何を思ったのか首筋に顔を近づけてくる。
ちょっ……
「さ、斎藤さん!!み、水割りでよろしいですか!?」
さりげなく離れると、グラスに氷を入れていく。
はぁ〜ビックリした……
動揺を隠しながらお酒を作っていると、斎藤さんは私の手の上に手を重ねるようにのせた。
ビクッと肩を上げた私を見て、斎藤さんは微笑み耳元に顔を近づける。
「ハナちゃんさ、住む家探してたよね?俺のマンションの一室、空いてるんだよね。よかったらおいでよ」
………え?
「莫大な借金もあるんだって?俺が代わりに建て替えてあげるよ。」
斎藤さんは耳元で囁くように言う。
な、何で知ってるの……
もしかして、お店の女の子にサラッと喋ったことが流れて……