sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「お、お客様にそんなことは……」
距離を取ろうと離れるも、彼は迫ってくるばかり。
「お客様だなんてそんな、堅苦しいな〜。俺とハナちゃんの仲でしょ?遠慮することないよ」
斎藤さんはそっと私の手を撫でる。
「ですが…ご迷惑に」
本当は今すぐにでもきっぱり断りたいのに。
お客様だから邪険にできない。
何とか上手くかわさないと。
「あの、斎藤様…」
「もう、掛け持ちして働かなくて済むんだよ?実家の鉄工所、守りたいんでしょ?俺が全部払ってあげる。俺ならハナちゃんを助けてあげられるよ。」
どこまで話が漏れてるんだろ……
何でもかんでもベラベラ喋るんじゃなかった。
「出勤終わり、店の裏で待ってるよ。」
斎藤様は耳元で囁くと、席を立った。