sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
いくらなんでも、あんな風に言って笑うだなんて……
「ハナちゃん、お疲れ様」
店の裏に出ると不意に後ろから声をかけられ
振り返るとやはりそこには……
「斎藤様…」
斎藤様は笑顔を浮かべ私に近づいてくる。
「さっきの話、考えてくれた?」
さっきの話とは、マンションの一室を貸してくれるというものと、借金を肩代わりしてくれるというもの。
「あの……そのことなんですが…」
ちゃんと、断らなきゃ。
そう、手をギュッと握りしめたときだった。
「まさか、断る、なんて言わないよね?」
グイッと腕を掴まれ引き寄せられる。
斎藤様の低い声に、鋭い瞳。
私は急に怖くなって足が竦む。
「さ、斎藤、様…?」
恐る恐る顔を上げると、ニヤリと微笑む顔が間近に迫った。