sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
斎藤様は私を一ノ瀬司から遠ざけるように背中に隠す。
「………貴方が救世主?では何故彼女は泣いている?」
「そ、それは…だね、それは、ハナちゃんが俺の話を分かってくれないからで、何もしていない!」
斎藤様の言葉に、一ノ瀬司はピタリと動きを止める。
その姿に勝ち誇ったように斎藤様はニヤリと微笑むが……
「………何もしていない、だと?」
ギロッと斎藤様を睨みつける一ノ瀬司。
もう、さっきまでの落ち着いた声色ではなかった。
ズカズカと一ノ瀬司は距離を詰めると、斎藤様の顎を強引に掴み上げた。
「………貴様、この世から消すぞ」
地を這うような酷く低い声。
顎を強引に掴まれ苦しそうな斎藤様は恐怖にたじろぐ。
「…はっ、なせ…っ、俺はっ、ハナちゃんの…っ」
斎藤様は一ノ瀬司に手を伸ばし抵抗しようとするが、その腕を取られ捻り上げられる。
唸り声を上げる斎藤様を地面に投げ捨てると、私を背に庇うようにして彼は立った。