sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「二度と、彼女に近付くな。次その面を見せるようなことがあれば……必ず貴様を消す」
一ノ瀬司の低い声と威嚇に、斎藤様は叫び声を上げて走って逃げていった。
大きな広い背中に何故かドキドキが止まらない。
斎藤様がいなくなって、私は安堵から力が抜け地面に座り込んだ。
太ももを触られた痕を消すように掌でさするけど、中々あの感触は消えなくて……
私、あのまま一ノ瀬司が来なかったらどうなってたんだろ。
考えると恐ろしくて、また涙が溢れそうになる。
そんな座り込んだ私を見て、一ノ瀬司は着ていたジャケットを脱いで私の膝にかけてくれた。
この人は何故、私を助けてくれたの?
「あ、あの、ありが…」
「阿呆かお前はっ!こんな裏道でクソオヤジに捕まりやがって……」
一ノ瀬司は捲したてるように言うと私を睨み付けた。
「お前には考える頭もないのか!?このド阿呆が!」
………え?
な、何でこんなに怒られてるの私!?