sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
頬に触れる長い指先。
斎藤様に触れられたときは怖かったのに、この男に触れられるのは怖くない。
寧ろ、安心するのはナゼ…?
「あ、あの……け、契約って…何ですか」
キョトンとした私の顔を見て一ノ瀬司はフッと笑う。
「お前が就職先を見つけて大学を卒業するまでの間、俺と偽装結婚しろ。その代わり借金は全て俺が肩代わりしてやる。」
ぎ、偽装…結婚!?
「俺は仮の婚約者の為。お前は借金返済の為。こんなに利害が一致していることはないだろう。」
偽装結婚、つまり契約。
私は借金を肩代わりしてもらう代わりに一ノ瀬司の婚約者になる。
だけど、どうして私が仮の婚約者に?
借金を抱える凡人女より、もっと他に婚約者のフリをしてくれる人はいると思う。
それに、大学を卒業までの間。
私が婚約者の振りをして彼の方にメリットはあるの?
「わ、私よりもっと適任の人がいると思います。借金を抱えてる女より、普通の人を探した方がいいかと……」
一ノ瀬司の目を見つめ言うと、彼は怪訝そうな顔をする。
「他の女を探せだと?お前如きの小娘が俺に指図するな。俺が決めた相手はお前だ。……お前以外考えられない。」
……っ!?
お前以外考えられない…って……
この人本気で言ってるの…?
不覚にも胸の高鳴りが止まらない。