sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「でも、私はただ当たり前に助けただけで…」
人として当たり前のことをしただけだ。
私が勝手にしたことで……
「その当たり前のことを今の若者がどれほど出来る?大切に思っている人を助けるのは誰だって出来る。しかし、何も知らない他人を通り過ぎていく人の中でお前だけは会長を助けた。俺はお前のそういう人間臭いとこをかっている。」
この前は、つまらない正義感だって言ったくせに。
急に褒められたって困るよ……。
「私、何も持ってないです。何も、誇れるものなんて。そんな私が、貴方に釣り合わない。偽装結婚の相手なら他にもっと…」
もっと、適任の人が……
悲願するように見つめると、彼は呆れたように私の頬を両手で挟んだ。
「何度も言わせるな。お前以外は考えられない。」
「……っ」
真摯な瞳に私は思わず何も言えなくなる。
何なの、私のこと……阿保阿保言うくせに…
「お前は何か勘違いしている。これは契約だ。俺に気を遣うな。お前はこの契約で借金返済の為に俺を利用しろ。その代わり俺もお前を利用する。何の情もいらん。」
何の感情も読み取れない瞳。
ああ、この瞳。
彼は多分、いや絶対
私に何の情もない。
契約、だもんね。