sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「特にこの生活での約束事はないが、俺の書斎には絶対入るな。」
広いリビングルームの奥に2つ扉があった。
手前が寝室で、奥の扉が書斎らしい。
言われなくたって絶対入らないよ……
恐ろしい……
一ノ瀬司はジャケット脱ぎ、慣れた手つきでネクタイを緩めると私なんてそっちのけでソファーに座り新聞を読み始めた。
ソファーにジャケット置いたら皺になるんじゃ……
片付けていいのやら迷うけど。
私たちは偽装結婚なわけで……
別に何もしなくていいよね。
お節介だと思われたら嫌だし。
それに、一ノ瀬司もユキちゃんを膝に乗せて、私なんて眼中にない。
「あ、あの……リラックスしてるとこ悪いんですが……この前は危ないところ助けて頂いて、ありがとうございました。」
斎藤様から助けてもらったこと、お礼を言うタイミングをすっかり逃していた。
「……礼を言うなら態度で示せ。もう二度とあんな事をするな。」
一ノ瀬司は新聞から視線を離さぬまま、言った。