あなたへ





今、なんて言ったの?






「何?もう一回言って。聞こえなかった。」





そう、これは私の聞き間違い。




「アスカと別れて。」



「……。」






そんな…、そんな残酷な事ってある?だって、宿泊研修のとき頑張って告白して。両想いだって知って。夏祭りにキスして。幸せな気持ちに満たされて。デートだってして。プレゼントももらって。







……なのに、別れる…?無理だよ…。そんなの。無理…。私にはアスカしかいないの。








「泣かないでよ。」







ああ。私、泣いてる…。ケンタいるのに恥ずかしいな。泣いちゃって、子供っぽいね。こんなだったら、いつか愛想つかされるかもね。





そのとき、私の頬にケンタの手と顔が伸びてきて、私の涙が流れてる、頬にキスをした。






「泣かないで…。」




そしてケンタの手は、私のセーラー服の胸元のボタンをはずし始めていた。







「だめっ…だよっ……。」





力いっぱいの声を出してるつもりなのに、泣いてるせいか、声が出ない。ケンタの手は、もう私のブラをはずそうとしていて…。





「キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。」





あ、チャイム!救われた…。教室に行かなきゃ。





「このままさぼっちゃおーか、2人で。この教室、鍵もしめてるし誰も来ないよ…?」





「だめっ。それに、まだ私はアスカと付き合ってる。」




「なに?別れる気になったの…?」





そんなこと…。別れるわけない。





「でも、早く別れないと…。アスカが大変なことになるよ…?」




なに、それ?大変な事って…?





「さー、教室に戻りな…?」




「言われなくても…!!」





何だったの?いきなり私の事好きとか。アスカが大変なことになるとか。ケンタって、わからない。






私は、まだ気づていなかった。“大変なこと”の本当の意味を。










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