魔法薬局のバイト事情。
「…トニアースが飛んで来るなんて聞いてないんですけど」
心臓の鼓動を感じながらみ、少し恨めしい目でロイ君を見る。ロイ君はケロッとした表情をしていた。
「リア先輩なら捕まえてくれると思っていましたから。まぁ、良かったじゃないですか。ちゃんとトニアースを捕まえられたんですから」
ロイ君はわたしが抱えていた籠の中のトニアースを優しい目で見つめていた。
ロイ君、きみは。
なんて暖かい顔で、優しい瞳で、微笑むの。
「可愛い…」
思わず言葉が出ていた。
「…可愛いって何ですか?」
しばらくの沈黙の後で響いた、いつもより数トーン低いロイ君の声。ロイ君、怒ってる。
ロイ君は眉間にシワを寄せながらどんどん近づいてくる。
「まさか僕のこと、弟扱いしてるんですか?」
「え、いや、あの、それは…」
言い訳をしようとした、その時だった。
バサリと大きな音と共に、突風が吹いた。
思わず腕で目を覆う。
風が止んで腕を退けると、わたしは目を見開いて息を飲んだ。
「あれは…」
少し焦ったロイ君の声も聞こえる。
わたし達の視界に映るもの、それは。
怪物、だった。
「リンドヴルム…」
ロイ君がまっすぐに魔物を見ながら呟くように言った。
「あれ、リンドヴルムですね。地を這い翼を持つドラゴン。水場に住むといわれています」
リンドヴルムと呼ばれたそのドラゴンは緑と紫が混ざったような不気味な色をした巨大な蛇に、同じ色の翼を生やしたような姿をしている。
魔物は突然叫び声をあげた。
耳をつんざくようなその声がビリビリと鼓膜に響く。
「…なんだか。強そうだね」
「そうですね」
2人して顔を見合わせた。
あはは、と乾いた笑みが溢れるが、今は本当に笑っている場合じゃない。
「とりあえず箒で逃げましょう」
胸ポケットから杖を取りだそうとした時だった。
リンドヴルムはまた突然叫び声をあげた。
心臓の鼓動を感じながらみ、少し恨めしい目でロイ君を見る。ロイ君はケロッとした表情をしていた。
「リア先輩なら捕まえてくれると思っていましたから。まぁ、良かったじゃないですか。ちゃんとトニアースを捕まえられたんですから」
ロイ君はわたしが抱えていた籠の中のトニアースを優しい目で見つめていた。
ロイ君、きみは。
なんて暖かい顔で、優しい瞳で、微笑むの。
「可愛い…」
思わず言葉が出ていた。
「…可愛いって何ですか?」
しばらくの沈黙の後で響いた、いつもより数トーン低いロイ君の声。ロイ君、怒ってる。
ロイ君は眉間にシワを寄せながらどんどん近づいてくる。
「まさか僕のこと、弟扱いしてるんですか?」
「え、いや、あの、それは…」
言い訳をしようとした、その時だった。
バサリと大きな音と共に、突風が吹いた。
思わず腕で目を覆う。
風が止んで腕を退けると、わたしは目を見開いて息を飲んだ。
「あれは…」
少し焦ったロイ君の声も聞こえる。
わたし達の視界に映るもの、それは。
怪物、だった。
「リンドヴルム…」
ロイ君がまっすぐに魔物を見ながら呟くように言った。
「あれ、リンドヴルムですね。地を這い翼を持つドラゴン。水場に住むといわれています」
リンドヴルムと呼ばれたそのドラゴンは緑と紫が混ざったような不気味な色をした巨大な蛇に、同じ色の翼を生やしたような姿をしている。
魔物は突然叫び声をあげた。
耳をつんざくようなその声がビリビリと鼓膜に響く。
「…なんだか。強そうだね」
「そうですね」
2人して顔を見合わせた。
あはは、と乾いた笑みが溢れるが、今は本当に笑っている場合じゃない。
「とりあえず箒で逃げましょう」
胸ポケットから杖を取りだそうとした時だった。
リンドヴルムはまた突然叫び声をあげた。