魔法薬局のバイト事情。
*
「ありがとう」
幼い兄妹は笑顔で手を振り、薬局を後にした。
その姿が見えなくなるまで見送ると、ターシャさんに話しかけた。
「良かったですね、あの子の呪いが解けて」
ターシャさんは目を細めて微笑んだ。
わたし達が戻った後、ターシャさんは急いで抗呪魔法薬を生成、処方した。
尻尾の毛を少し切り取ったトニアースはというと、まだ檻の中で元気にエサを食べている。
ターシャさんはわたし達を呼ぶと、ワシャワシャと乱暴に頭を撫でた。
「2人とも、ありがとう」
それは今まで見た笑顔の中でいちばんやさしかった。
わたしは胸にこみあがる想いを感じていた。
帰り際、わたしはロイ君を呼び止めた。
「なんですか?」
「あの、今日はありがとう!」
緊張しながら感謝の思いを伝えると、ロイ君は少し目を見開いた。
「…それは反則ですよ」
ロイ君は溜息を吐いた。
訳が分からず理由を尋ねると、もういいですと言われてしまった。
「じゃ、お疲れ様でした」
ロイ君は箒で飛び上がるとそのまま家に帰っていった。
だから、わたしには聞こえなかったんだ。
箒で空を飛びながら呟いたロイ君の言葉を。
「いつか、先輩のこと、振り向かせますから」
fin.
「ありがとう」
幼い兄妹は笑顔で手を振り、薬局を後にした。
その姿が見えなくなるまで見送ると、ターシャさんに話しかけた。
「良かったですね、あの子の呪いが解けて」
ターシャさんは目を細めて微笑んだ。
わたし達が戻った後、ターシャさんは急いで抗呪魔法薬を生成、処方した。
尻尾の毛を少し切り取ったトニアースはというと、まだ檻の中で元気にエサを食べている。
ターシャさんはわたし達を呼ぶと、ワシャワシャと乱暴に頭を撫でた。
「2人とも、ありがとう」
それは今まで見た笑顔の中でいちばんやさしかった。
わたしは胸にこみあがる想いを感じていた。
帰り際、わたしはロイ君を呼び止めた。
「なんですか?」
「あの、今日はありがとう!」
緊張しながら感謝の思いを伝えると、ロイ君は少し目を見開いた。
「…それは反則ですよ」
ロイ君は溜息を吐いた。
訳が分からず理由を尋ねると、もういいですと言われてしまった。
「じゃ、お疲れ様でした」
ロイ君は箒で飛び上がるとそのまま家に帰っていった。
だから、わたしには聞こえなかったんだ。
箒で空を飛びながら呟いたロイ君の言葉を。
「いつか、先輩のこと、振り向かせますから」
fin.