恋 文 日 和
あたしが好きなのは、神楽くん。
神楽くんだよ。
でも、そんな事言えるはずもなくて
「い、いるかも……。」
言葉を濁したまま小声で答えた。
「何、かもって。」
あはは、と笑う神楽くんに胸がチクリと痛む。
そして、脳裏でちらつく神楽くんの彼女の存在。
あたしの、この胸の痛みの原因。
だけど、次に神楽くんの口から吐き出された言葉が、あたしの思考回路を遮断した。
「でも、いいよな恋って。俺もしてー。」
「……へ?」
「ん?」
え…?
ちょっと、待って。
今、神楽くん何て???
…俺も、したい?
あれ?あれれれれ?
混乱した脳みそが、ピタリと停止して
「…か、神楽くん、彼女いるんじゃ、ないの…?」
やっとついて出た言葉は、なかなかうまく声にならなかった。