恋 文 日 和
「へ?俺、そんな事言ったっけ?」
「え、だ、だって、」
あれ?
じゃあ、あれは?
あの電話は、何だったの?
訳わかんなくて、パニックがあたしの頭の中を占拠してゆく。
そして、つい口にしてしまった。
「由芽ちゃん、って彼女…でしょ?」
『本当だっての!由芽が思ってるような事なんかないよ。』
あの日、裏庭で聞いてしまったその名前。
聞きたくなかった、言葉。
ポカン、と尋ねるあたしに
同じようにポカンとした神楽くんが聞き返してくる。
「…何で菊井、由芽の事知ってんの?」
「へ?え、あ、えっと!」
ひーっ!!
何してんの、あたし!
盗み聞きしてたのバレバレじゃんっ!!
慌てふためくあたしをよそに
「あぁ、もしかして俊介から聞いた?」
と、神楽くん。
「え?あ、うん!!そう!桜井くんから!」
あはは~、と誤魔化して笑ってみせる。