恋 文 日 和
バイトから早一週間。
すっかりと夏色に帯びた街並みは、夏休みのせいかあたしたちと同じ年頃の子で溢れ返っている。
でもこの中でもあたしが一番浮かれているんじゃないだろうか。
『菊井、』
バイト帰りのバスの中。
『携帯、教えてよ。』
あの日、一番の笑顔で神楽くんが言った。
そして、あたしの携帯に登録された
“神楽 翔晴”
それからは、皆さんのご想像通り。
幸せすぎて
目に映る全てのモノが輝いて見える。
もう、これ以上にないってくらい。
あぁ、とにかくすんごーく幸せっ!!
思い出すと顔が…。
んふふっ!
「日和!」
「ふう!?」
「ふう!?じゃないってば。着いたよ。」
見慣れた玲の呆れ顔に促されて、ようやく我に返ったあたし。
見上げた視線の先には、街中のあるカラオケボックス。