恋 文 日 和


「こんなの、頼んだ覚えないけど。」

「え?」


それはある日曜日のお昼の出来事。


オーダーされたたこ焼きを、104号室のお客さんに持って行くとそんな返事が返ってきたのだ。



「違う部屋と間違えてるんじゃない?」

「も、申し訳ありません!」

仕方なく、出来たてのたこ焼きを持って部屋を出る。



…おかしいなぁ。
確かに104号室だったのに…。


頭を捻りながら厨房へと戻ったあたし。


もう一度確認の為、オーダー表を確認すると
そこには確かに“たこ焼き”と記されていた。



誰かの聞き間違え、かな。


その時は
そんなふうに軽く考えていた。




だけど、これはまだ始まりに過ぎなかったのだと

あたしはこの後
知る事になる。





< 129 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop