恋 文 日 和
「こんなの、頼んだ覚えないけど。」
「え?」
それはある日曜日のお昼の出来事。
オーダーされたたこ焼きを、104号室のお客さんに持って行くとそんな返事が返ってきたのだ。
「違う部屋と間違えてるんじゃない?」
「も、申し訳ありません!」
仕方なく、出来たてのたこ焼きを持って部屋を出る。
…おかしいなぁ。
確かに104号室だったのに…。
頭を捻りながら厨房へと戻ったあたし。
もう一度確認の為、オーダー表を確認すると
そこには確かに“たこ焼き”と記されていた。
誰かの聞き間違え、かな。
その時は
そんなふうに軽く考えていた。
だけど、これはまだ始まりに過ぎなかったのだと
あたしはこの後
知る事になる。