恋 文 日 和
「何よそれっ!!」
「れ、玲!しーっ!!」
久々に袖を通した制服を、夏の熱風が通り抜ける。
ざわつく教室の窓際の席。
今日は夏休みに一日だけある、登校日なのだ。
「だって、そんなの酷くない!?なんなのよ、その女!」
ミーン、と窓の外で鳴き喚くセミよりも大きな声で玲がまくし立てる。
「でも、本当にリサさんかどうか、わからないし…。」
「何言ってんのよ!どう考えたってそいつしかいないじゃんっ!」
身を乗り出し、憤慨する玲。
うーん、と曖昧に笑うあたし。
そんな煮え切らない態度が気に食わなかったのか、玲はガタン!と席を立った。
「あーもう!こうなったら神楽に、」
「玲!」
思わず引き止める。
ほんの少し、神楽くんに視線を向け
再度玲を見上げたあたしは、首を横に振って
「いいの、平気。あたしは全然大丈夫だから。」
そう言って玲をイスに座らせた。
「でも、」
「大丈夫、心配しないで!」