恋 文 日 和
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『わかった、でもあんまり無理はしないでよ?』
『うん。わかってる。』
『酷くなるようなら、神楽に言わなきゃだからね?』
バイトに向かう街路樹を、俯き加減で歩く。
酷くなるようなら、か…。
正直、ここ最近
リサさんからの嫌がらせは悪化してると思う。
最初の内は自分自身の問題で済まされたけど、今はバイトの子みんなに迷惑かけてる。
だけど、リサさんの思惑通りにこのまま辞めるのは嫌だし…。
かと言って、このままバイトを続けるのは
精神的にも辛いし…。
「何だかなぁ…。」
思わず、零れ落ちた溜め息に憂鬱が色を増して。
どうしたらいいとか
どうすればいいのかとか
結局答えは出ないまま、すでに見慣れた街並みにカラオケボックスの赤い看板。
「はぁ…、」
…神楽くん、もう来てるかな。
そう考えながら
重たい足取りで、再び歩き出した。