恋 文 日 和
「おはようございます…。」
「…おはよう。」
ロッカー室に入ると、すぐさまあたしに向けられた冷たい視線。
それに気が付かないフリをしながら、自分のロッカーを開ける。
備え付けのロッカーの鏡に映る自分が酷く悲しい顔をしてた。
でも、やっぱり気が付かないフリをして着替えたあたしは、髪をいつものように二つに結わえ、深く深呼吸する。
そうする事で、負けそうな自分を奮い立たせてた。
けど、あたしは
一番肝心な事を忘れていた。
負けない、大丈夫って言い聞かせて
目の前の自分しか見えてなくって。
少しでも、神楽くんの傍に居たかったから。
少しでも、神楽くんに近付きたかったから。
きっと、周りが見えてなかったんだ。
こんな事になる前に
気が付けなかった自分が
酷く、憎たらしい。