恋 文 日 和
雨が邪魔して
玲が今、どんな顔をしているのかわからない。
だけど、玲は
あたしの問い掛けに、否定も肯定もしなかった。
「どうして…、」
腕を掴む手に力が入る。
「…どうして、何も…話してくれなかったの…?」
あたしじゃ、頼りにはならないのかもしれない。
あたしなんかじゃ、上手い言葉あげられなかったかもしれない。
でも、玲の為に
玲が少しでも笑えるように
話を聞いてあげる事くらい
出来たのに……。
髪の先から、雫がポタリと落ちた。
地面に転がる傘が
ひっくり返って雨粒を溜めている。
濡れた制服が重たくて。
だけどそれよりも
重たい空気の中で、玲が小さく唇を動かした。
「…あんたには、わかんないよ…。」
「え……?」
尚も雨が邪魔して
俯く玲の声が遮られる。