恋 文 日 和
「あんたにはわかんないって言ったの!」
だけど今度は
はっきりと聞こえた。
そして、見た事もない顔で
あたしを睨みつける玲。
「れ、い…?」
目の前が、真っ暗になってゆく。
「みんながみんな、まっとうな恋してるとでも思ってた?」
刺さるような玲の視線。
あたしはただ、玲の口から吐き出される言葉を懸命に追い掛けた。
でも、それは上手く噛み砕けなくて。
「バッカみたい。」
まるで、誰かに鈍器で殴られたように
景色が歪んで見える。
なのに、頬を伝う雨の感触だけがはっきりとあたしに伝わった。
「もううんざり。あんたのそうゆう所。」
「おい、玲!」
桜井くんが、玲の言葉を遮って。
「…菊井、」
神楽くんの声と
肩に置かれた手のひらだけが、唯一の救いになった。