恋 文 日 和
一日中降り続けた雨は
朝にはすっかり止んで、燦々とした太陽を雲の隙間から覗かせていた。
眠れなかった夜は
あまりにも簡単に朝を連れて来る。
それがどれだけ酷なのか
朝日を見つめて溜め息を落とし、のそのそと学校へ向かう支度を始めた。
「嘘、それってマジ!?」
「らしいよ?結構やるよね、瀬宮さんも~。」
腫れてしまって半分になった目で、教室を見渡す。
学級委員を務めている上に
学年でも目立つ存在だった玲の噂は、一日にして学校中に広まっていた。
「…おはよう、」
振り絞るように出した声。
あたしに驚いたクラスメイトは、何も答えずにそそくさとどこかへ消えてしまった。
あれだけ玲を慕っていた他のクラスメイトも
彼女と仲良かったあたしを見て、ひそひそと教室の隅で耳打ちし合ってる。
その光景に
呆然と立ち尽くしてるあたしの肩を、誰かが叩いた。
「おはよ。」
「…神楽くん…。」
気の抜けた視線の先に、優しい神楽くんの笑顔。
だけど、あたしを見る目に
少しだけ悲しみも含まれていて、それがまた涙を誘った。