恋 文 日 和
「“あたしなんか”って言葉、大嫌い。」
グラウンドから笑い声が漏れて、あたし達の教室まで届く。
その中に、神楽くんの笑い声も含まれているのかな。
頭の端の方でぼんやりとそんな事を考えた。
玲の力強い言葉。
それに続いて向けられた玲の瞳は、言葉とは反対に優しかった。
「そうゆうの、もう止めようよ。」
「え……?」
戸惑うあたしに、玲は笑ってグラウンドを見つめる。
「自信がないなら、自信を付ければいいの。」
「玲……。」
「あたしなんか、不釣り合いだっていうのはいい訳でしかない。」
玲を見つめる。
それは、自信に満ち溢れた横顔。
そして視線をあたしに向けた玲。
「変わるんだよ、日和。自分の為に。」
「……玲…。」
…変わる。自信をつける為に。
出来るかな、あたしに。
だけど、その時の玲の笑顔があまりに優しくて。
「……うん、あたし変わるよ。」
そう呟いたら、一つ自信が生まれた気がした。