恋 文 日 和
とは言ったものの
文化祭という行事で、一人でいるのはさすがに寂しい。
「はぁ…。」
だから、逃げるようにここへ来てしまった。
以前来た時よりも
暑さが和らいだせいか、とても心地よく感じる。
『合縁奇縁って言葉知ってる?』
『人と人との関係は、常識では考えられない不思議な縁で結ばれてる。って意味らしい。』
神楽くんのあの日の言葉が過ぎった。
まだ、そんなに日は経っていないはずなのに
随分前の事のよう。
その間に
一体どれだけの涙を流したんだろうか。
どれだけ、上手く笑えなくなったかな。
学校中に響く賑やかな声。
吹奏楽部が奏でる旋律。
あたしだけ、別世界に居るみたい。
目に映る全てが、濁った灰色に見えてしまう。
玲が隣に居ないだけで
こんなにも見える景色が違うんだ。
「…玲……。」
涙が、滲む。
玲はもう、あたしに笑ってくれないの?