恋 文 日 和
それから、どれだけの雲が
あたしの上を流れていったのだろう。
相変わらず晴れ渡った空が、ここぞとばかりにあたしを映し出す。
そのまま、ただ時間が過ぎていくのを待ってたその時だった。
「こんな所に居た。」
突然聞こえた声に、意識がふっと戻される。
声を辿り、視界に映るその姿。
「神楽くん…、」
「もう昼だよ。お腹空いただろ?」
はい、と差し出されたビニール袋。
戸惑うあたしに
「ここ、菊井のサボリ場所にもなっちゃったかー。」
そう言って、そのビニール袋からサンドウィッチを一つ取り出した。
神楽くんの手によって、サンドウィッチの袋が軽快な音を響かせる。
「菊井も食べな。俺からの奢り。」
「で、でも、」
「いーから!遠慮はいらないっての。」
いたずらっ子のような神楽くんの笑顔が、すーっと心に溶けていく。
少し躊躇いながらも
あたしも一つ、サンドウィッチを手に取った。