恋 文 日 和


羨ましい?
玲が、あたしを?

…どうして?



髪を掻きあげ、玲はふっと笑いを落とす。


「松本先生とはね、高校1年の冬から付き合い始めたの。」

まるで、遠い昔を思い出すように
玲の瞳が揺れて。


「最初は確かに、先生と生徒ってその響きに憧れてただけだった。」

でも、と続けた玲の言葉が詰まった。



「過ごす時間が…増える程、彼女の存在が、嫌で…。」

――彼女。

松本先生の婚約者だ。



「バカだよね、ホント。最初から終わりがあるってわかってたのにさ。」

はは、と乾いた笑いが
あたしの胸に突き刺さる。



「あの日…。夏休みに、最後に会いたいって言ったの。外で、普通に。生徒と先生としてじゃなく、会いたいって。」


そうだったんだ…。


それを、誰かに見られちゃったんだ…。




胸が、苦しくなってくる。






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