恋 文 日 和


シン、と静まった空間で
玲の鼻を啜る音が聞こえる。

あたしはそんな玲を見つめながら
唇を噛みしめた。


ちゃんと、聞いてあげたかったんだ。

泣きたいはずの玲が
涙を堪えて、あたしに話してくれてるから。


玲の苦しみ全部、受け止めてあげたかった。




いつも、玲が
あたしにしてくれていたように。





「だから、あたし日和が羨ましかった。」

カシャン、と金網が鳴る。


「素直で、真っ直ぐで、純粋で。あたしは、そんな風に先生を想えなかったから。」



はぁ、と息を吐き出した玲は
ゆっくりとあたしの元へ歩いてくる。


そして、目の前に座り込んだ玲。

あたしは、ぐっとスカートを握り締めた。





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