恋 文 日 和
全く関連性のない話に、思わず間抜けな声が出た。
風にはためくスカートを気にしながら
玲が、髪の毛を耳に掛けて言う。
「神楽に言われたからだよ。」
「…神楽くん、に?」
「そう。」
ふう、と息を吐き出した玲は
「菊井が、寂しそうで見てられないって。」
優しく笑ってそう言った。
「毎日毎日、あたしん家来てさ。最初は学級委員として話してくるんだけど…。」
思い出すように笑う玲を、あたしは黙ったまま見つめる。
前よりも少し落ち着いた色した玲の髪が、青空によく映えて。
短く、だけど大人っぽいショートカットが、彼女にはとても似合ってた。
「結局、日和の話になるんだよね。」
ふふ、と声を漏らす玲。
「後悔は、意味がないよ日和。だって、過ぎた事を悔やんだってどうしようもないんだから。」
そう思わない?
玲の言葉に、涙が青空を滲ませた。